1分で読める明治時代の教科書:川嶋又兵衛

近江(滋賀県)の商人は商売上手な上に辛抱強いです。
どんな苦労もがまんして、たゆまず遠い場所をまわって商売する人が多いです、
そのため、昔から商人の手本は近江商人といわれています。

昔、川嶋又兵衛という近江の商人がいました。
ある年、商売のために江戸から信州(長野県)にむかうとき、有名な峠にさしかかりました。

お供の者と、重荷を背負って登りましたが、坂道はけわしく、夏の暑さもあり、大変苦労しました。

二人はしばらく木のかげでやすみました。

お供の人は汗をぬぐうと
「商人になってこんなに苦しむぐらいなら、百姓になるほうがましだろう」
となげきました。

これを聞いた又兵衛は、いいました。

「わずかこのくらいの山ひとつでさえ、商人をやめようと思う人がいる。
もし同じような山が5つも6つもあったなら、それを越えて行く商人は、一人もいないだろう。
そうなれば、自分ひとりで行って儲けられるのに。山が一つだけしかないのは残念だ」

これを聞いたお供の人ははげまされて、一緒に山を越えて信州に入りました。

辛抱強い又兵衛は後に大商人になり、鬼又兵衛とよばれるようになりました。

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